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Fuji KLASSE

 
 
 
     FUJI KLASSE(BK)

 クラッセ

勝手にインプレッション

なんとも評価が難しいカメラだ。バブルが崩壊し、高級コンパクトカメラのブームが遠く去った後、遅れてやってきた新人が、この「クラッセ」である。当時、フジが鳴り物入りで世に送り出したため、一体どんな仕上がりになるのか興味津々であったが、幾分肩透かしを食らったのは私だけではあるまい。

まず何はさておいても、そのデザインが微妙である。個性的には違いないものの、お世辞にも造形美を感じさせるものとは言いがたい。外観も安っぽく、高級コンパクトというジャンルに入れていいものかどうか、判断に迷うカメラである。

最初に出たのはシルバーのモデルで、このときは上記のような理由から、全く食指が動かなかった。ところが半年ほど経って、今度はブラックモデルが追加された。カメラ業界では良くある戦略だが、色が黒に変っただけなのに、いきなり精悍さが増したような気がして、クラクラ来た。
しかも、人気が無くて売れないので、新品も安けりゃ中古も安い。気がついたら、定価の三分の1くらいの価格で、ヤフオクにて落札していた。

クラッセ レンズ
(スーパーEBCフジノンレンズの美しいコーティング。その描写は極めて濃厚)

肝心の写りの方は、なかなか優秀である。あっさりした描写が好きな人には、むしろ少し写り過ぎと感じるほど、非常にハイコントラストだ。色のりも濃厚で、特に原色が鮮やかに発色する。ただし、幾分青みが強く、組み合わせるフィルムによってはその傾向が顕著に出る。暖色系のフィルムを使うと良いかもしれない。
また、歪曲が意外と補正しきれていない。至近距離では樽型の歪みが目立つ。この辺は、まあ値段なりということか。

F2.6という明るさは、F2.8よりも明るいと言っても、実質意味がある差ではない。しかし、コニカヘキサーのF2、ライカミニルックスのF2.4に次いで「AFコンパクトカメラ中で3番目に明るい」というスペックは、称号としての満足感を与えてはくれる。
【2005.10.25追記】
(ここのところ、フジが次々に「明るいレンズ」を搭載した銀塩コンパクトをリリースしている。クラッセも、28mmになって来春リニューアルデビューするとのこと。フィルムメーカーとしての意地を感じる。銀塩ファンとしては嬉しい限りだ。)

焦点距離は、あの名機T2と同じ38mm。実はエンゾー、この焦点距離がとても気に入っている。28mmだと、はっきり広角なので、パースペクティブがきつく、スナップカメラとしては潰しが利かない。35mmは使い勝手が良いが、なぜか「寄れる」コンパクトがない。(T3を除く)
そこへ行くと、クラッセはもう一歩標準側に寄っている上に、最短撮影距離も30cmと短いので、その気になれば、かなりのUPが撮れる。同じ38mmでも、寄れないしアクティブAFでガラス越しでは撮れないT2とは、使い勝手がかなり違う。

ただ、リバーサルを使うことを視野に入れて作られているくせに、露出補正の操作が恐ろしく煩雑だったり、電源を切るたびにデフォルトに戻ってしまうフラッシュの発光モードなどは、どうにも不便でイライラさせられる。また、ファインダー情報が極端に少なく、シャッタースピードも絞り値も合焦距離も、何一つわからない。そういう道具としての中途半端さが、このカメラの評価を引き下げていて、非常にもったいない。

とはいえ、写りの良さの割には明らかに安いカメラなので、カラーネガを詰めて、フルオートで旅先を気軽にスナップするには最適な機種である。


長所

○スーパーEBCフジノンレンズは悪条件に強い。写りは一線級。
○38mmという画角は、いろいろ撮れてとても使い勝手がいい。レンズも明るいし。
○小型軽量を目指して設計されたわけではないので、ある程度の大きさがある分、
 ホールディングしやすい。
○デフォルトで両吊りが出来る。(意外と少ない)

短所

●露出補正がしにくい。オートブラケットを使えってことか?う~ん(-"-;)
●発光モードを固定できない。電源を切ると、いちいちデフォルトに戻る。
●近景は鮮やかなのに、無限遠での写りがイマイチ悪い。
●AFがトロい。AFロックを掛けようとすると、一瞬タイムラグがある。

超個人的オススメ度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆

偏愛度(10点満点)
☆☆☆☆ 

Yahooオークション出現率(10点満点)
☆☆☆☆☆ 
ちょっと粘れば、2万円台の格安で入手できる。

 
 



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